元日本人が日本で暮らすには
外国の国籍を取得した元日本人が日本で暮らす方法
国籍法には,自己の志望によって外国の国籍を取得したときは日本の国籍を失うと規定されていますので,例えば,アメリカにお住まいの日本人が志望してアメリカの市民権を取得すると,その時点で日本国籍を失いますから,アメリカにいるときは3か月以内にお住まいの州を管轄する日本国総領事館や本籍地の市区町村役場に国籍喪失届を提出しなければなりません。
(3か月を過ぎた場合であっても国籍喪失届は提出しなくてはなりませんが,その場合は提出期限を過ぎた理由を書かなくてはなりません)
アメリカ市民権を取得した時点で,日本人ではなくなってアメリカ人になっているわけですから,日本国旅券の発給申請をしたり,日本国旅券を使って日本やその他の国に渡航することはできません。
しかし,外国の市民権を取得した後に,親の介護や仕事などの事情で日本に移住なさりたいときがあると思います。
その場合は,市民権を取得した国の国籍者として,査証(Visa)を取得すれば日本に移住することができます。
つまり,外国人として日本で暮らすということですが,外国にお住まいの場合は下記の手順によって査証(visa)を取得します。
1.在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility(COE))を入手する
日本で長期滞在が可能となる査証(Visa)はお住まいの地域(アメリカにお住まいであればお住まいの州)を管轄する日本国大使館又は総領事館に申請しますが,申請の際に在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility(COE))が必要となります。
在留資格認定証明書は日本国内にある地方出入国在留管理局の本局・支局・出張所のいずれかに立証資料を添えて申請します。
詳しくは,在留資格認定証明書をご覧ください。
2.査証(Visa)の発給を受ける
在留資格認定証明書が入手できたら,同証明書を提出または提示して査証(Visa)を申請し,発給されたら在留資格認定証明書の交付日から3か月以内に日本に到着し,入国審査を受けます。
3.日本での暮らし
在留期間が決まっていますので(在留期間は人により異なります),在留期間の満了日までに在留期間更新許可申請を行なっていきます。
外国人として日本で暮らすわけですから,色々な手続きの際には在留カードの提示を求められます。
Spouse or Child of Japanese National(日本人の配偶者等)の在留資格をお持ちであれば,日本での活動内容に制限はありませんから,会社に就職したり商売を始めたり,大学等に通学することなどは自由にできます。
再び日本国籍に戻りたいとお考えでしたら帰化申請をすることができますし,外国の市民権を持ったまま日本で永住したいとお考えでしたら永住許可申請をすることもできます。
どちらも日本に到着後すぐに申請することはできませんので一定期間(この期間は個々人の状況により異なります)日本で暮らし,各種の税金や社会保障費の納付など公的義務を果たしておく必要があります。
元日本人が申請する在留資格は
在留資格認定証明書は,いくつか種類がある在留資格のうち,いずれか一つの在留資格を選択して申請しますが,外国の市民権を取得した元日本人の場合は Spouse or Child of Japanese National(日本人の配偶者等)を申請することが考えられます。
この場合,査証(Visa)も特定査証の一つであるSpouse or Child of Japanese Nationalが発給されます。
Spouse or Child of Japanese Nationalの在留資格は,日本人の特別養子または日本人の子として出生した者が該当します。
日本人の子には,嫡出子,認知された嫡出でない子が該当します。ただし,出生時に父または母のいずれかが日本国籍を有していた場合または本人の出生前に父が死亡し,かつ,その父の死亡のときに日本国籍を有していた場合でなければなりません。
外国の国籍を取得した元日本人がこれに該当する場合は,Spouse or Child of Japanese Nationalの在留資格認定証明書の交付申請をすると良いでしょう。
行政書士 武原広和事務所に御依頼いただけること
在留資格認定証明書交付申請の立証資料のコンサルティング,申請書類の作成,申請手続き代行を御依頼いただけます。
立証資料は申請者の状況によって適切なものを準備しなくてはなりませんが,詳しくご事情をお聞きしたうえでどのような書類をご準備いただくと在留資格認定証明書交付申請がスムーズになるか具体的に御説明いたします。
地方出入国在留管理局に提出する申請書類はすべて作成いたします。
申請の代行もいたします(ただし,ご本人または申請代理人(御親族)が日本にいらっしゃる場合に限ります)。
日本移住までのスケジュールの考え方や査証(Visa),在留資格に関することも随時御相談いただけます。
以上のことをご依頼いただけますので,安心して日本移住手続きを進めていただけます。
日本への移住手続に関して,ご不安・ご心配があると思いますが、無事に日本にお住まいになる日まで(もちろん日本にお住まいになった後も)誠心誠意サポートいたしますので,どうぞよろしくお願いいたします。
【参考条文】
国籍法
(国籍の喪失)
第11条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。
第12条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたものは、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本の国籍を失う。
第13条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。